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【「はじめに」より】
大学を卒業したかと思ったら、数百万円の借金返済が始まる――。
これは、極端なケースではありません。
現在、日本の大学生の約4割が奨学金を利用し、その大半が返済する必要のある“貸与型”の奨学金を借りています。
教職員になれば返済不要となる奨学金などいまや昔。
低金利とはいえ、日本では金銭的なことを気にせず勉学に励むための“奨学金”とは名ばかりの“奨学ローン”が中心となっています。
それが、右肩上がりを望めない経済の下、若者の貧困や格差を招く一因として大きな関心を集めるテーマともなっています。
もちろん、貸与型であれまとまった教育資金を借りられることの重要性は言うまでもありません。
また、政府も手をこまねいているばかりではありません。
財源の確保が一番の課題ではありますが、貸与型はなるべく希望者全員が受けられる方向性を目指す一方で、国の制度としての給付型奨学金の新設も検討が進んでいます。
また、高まる関心を背景に、大学、自治体、企業などによる独自の取り組みも進みつつあります。
この本は、大学進学にあたって進学資金にお悩みの親子や、進路指導を担当する教職員向けに作られた給付型奨学金のデータブックです。
現在、日本にあり、利用可能な給付型奨学金の主要なものを網羅しました。
本書では、まず日本の奨学金制度の現状と課題、大学生活にかかわる費用、そして奨学金制度の新動向や、今後の展開などについて概観します。
そして、大学、自治体、企業・公益法人が現在取り組んでいる1700以上の給付型奨学金を紹介します。