悲しみ、涙、嘆き、苦悩、葛藤、温もり、想い、怒り、悔しさ……。
法律に基づいて客観的に人を裁く裁判官。よほど「私情」とは縁遠い存在に思える。
しかしそうは言っても、裁判官も人の子。血もあれば涙もあるし、情にほだされてしまうときだってある。
死刑と無期懲役との間で葛藤もするし、モラルのない弁護士がいれば法廷で怒るときもある。殺人犯の更生を願いもするし、逆に涙する被告人に対して非情にふるまう女性裁判官だっている。
もしかすると、裁判官は誰よりも人間味に溢れた存在なのかもしれない。
本書では、30年以上民事・刑事・家事・少年という多種多様な事件を担当してきた元・裁判官が、実際に体験した法廷でのさまざまな“ドラマ”を交えながら、普段はドライにふるまう裁判官の「本音」を明かしていく。