私…眼鏡以外、何も身につけていないわ!
カーテンの隙間から美しい全裸の男性が見える。
裁縫サークルに集った淑女たちは、紅茶とケーキを前に刺激的なお喋りに興じていた。
「ルーシー、あなた、会を休んでいるあいだにアバンチュールを経験したのではない?」
ルーシーはどきりとした。あの日、世にも美しい紳士と過ごした甘美な時間。あれは現実だったのかしら?
興味津々の視線を浴びながら、彼女はみずからの体験を語りはじめた――
その日、雨でぬかるんだ道を自転車で走っていたルーシーは、バランスを崩し、転んでしまった。
天使のような微笑みを浮かべた美青年イーサンが現れたのは、そのときだった。
逞しい腕に抱き上げられ、どこかへ運ばれていく途中で、彼女はいつしか眠りこんでいた。
ところが目を覚まして仰天した。一糸まとわぬ姿でベッドにいる!
カーテンで仕切られた部屋の向こうから聞こえてくるのは、水が撥ね、濡れた布が肌を打つ音。
ベッドを抜け出し、カーテンの隙間から奥を覗き見る。そこにいたイーサンは……。