恋も友情もあった。人生があった。ここだけが、私たちの居場所だった。
2023年夏、突如として「X」と名前を変えられ、姿を消した世界最大のSNSプラットフォーム、Twitter。たったひとりの人間の思惑によって、居場所を奪われた人たちがいた。無邪気に飛び回る青い鳥を、140字でしか気持ちを伝えられない世界を、愛し続けた作家たちが紡ぐ「Twitterなき世界」の物語集。
収録作
青井タイル 「オタクどもの精霊降臨日(ペンテコステ)」
Twitterが終わろうとしている今、オタクたちはどう生きるか。
足立いまる 「それじゃあまた、Twitterという天国で会おう」
昔、相互フォローになった女性から、突然DMが送られてきた。
乙宮月子 「近くて遠い二人の距離」
学生時代からの友人は、今はインスタグラマーをやっている。
根谷はやね 「もう一人のあなたを作る方法」
誰からも愛される同級生が死んだ。私は彼女のアカウントを発見した。
九科あか 「結論から言うと、ツイッターが一番性に合いました」
私がやってしまったことを告白する相手は、あなたがいいと思ったんです。
斜線堂有紀 「Twitterが終了したので、ここでしか繋がっていなかった助手との関係が切れた。」
探偵と助手として多くの事件を解決したのに、俺はあいつのことを何も知らない。