『ゴリオ爺さん』『谷間の百合』ほか全九一篇、登場人物二〇〇〇人による壮大な「人間喜劇」を構想したバルザック(一七九九―一八五〇)。富と名声を求めて旺盛な創作活動に邁進し、天才と俗物の間を生きた。その彼を終生敬してやまなかった伝記作家が、五一年の生涯を情熱的に描いた遺作にして最高傑作。〈解説〉宮下志朗
目次
第一篇 青春と初舞台
第一章 少年期の悲劇
第二章 運命への早まった問いかけ
第三章 オラース・ド・サン・トーバン小説工場
第四章 ベルニー夫人
第五章 商業的幕間狂言
第六章 バルザックとナポレオン
第二篇 仕事部屋のバルザック
第七章 三十男
第八章 書斎のうちとそと
第九章 カストリー侯爵夫人
第十章 バルザック自己の秘密を発見す
第三篇 小説を地で行く
第十一章 未知の女
第十二章 ジュネーヴ
第十三章 ウィーンの別れ
第四篇 小説家バルザックの栄光と悲惨
第十四章 破局の年一八三六年
第十五章 イタリア旅行
第十六章 転機の年
第十七章 サルデーニャの銀山
第十八章 芝居の投機
第五篇 『人間喜劇』の作者
第十九章 ハンスカ夫人征服の戦い
第二十章 『人間喜劇』
第二十一章 最初の挫折
第二十二章 蒐集家バルザック
第六篇 事の成就と終り
第二十三章 最後の傑作
第二十四章 ウクライナのバルザック
第二十五章 結婚と帰国
第二十六章 おわり