数学の理論の公理系にあらわれる基本的な用語は無定義なものであるべきだという公理主義の思想。この思想は、初等幾何学すなわちユークリッドの平面幾何学をめぐる考察のなかから生まれた。その意味で初等幾何学は現代数学の母であり、いまなお「生きた」数学の理論である。本書はヘルマン・ワイルの提唱した公理系にもとづいて、ユークリッドが展開した初等幾何学の再構成を試みる。平面を2次元の内積空間と捉えることで、数学の種々様々な理論と自然につながり合う「現代的な」幾何学が得られるのだ。幾何学が本来もつ証明の面白さを損なわないよう初学者への配慮も溢れる一冊。