あらすじ夜ごとに徘徊する竜之助の探索に出た米友が役人に捕まった。近在には一揆の気配が高まっており、その一味と見られた結果だった。お銀様は竜之助を長浜に隠れ住まわせ、お雪に世話を託した。ある夜、二人は湖に船を漕ぎ出すが、漂う船で激情にかられたお雪は竜之助に、死にたいと口走る。お雪にのびる竜之助の腕……。そのころ胆吹山麓ではお銀様が怒りにもだえていた。群がり来る人々は皆、理想どころか、甘い汁を吸おうとするばかりで、夢の王国がぐらつき始めていたのだ……。「恐山の巻」「農奴の巻」を収録。