いつもと同じ朝。同じ人たちの挨拶。変わらないこの街が好きだ。ただいつもと違ったのが———。喫茶店ムーンリバーで働く青年・リオは、最近よく店に来るようになった男性客が読んでいる『星の琴』という本に目が留まった。「君もこの本を読んだことが?」「はい。小さい頃よく」これをきっかけにリオは彼と話をするようになった。穏やかな店内。彼が音読を始めると、リオの心は日常から物語の世界へ引き込まれていく。どこか人を寄せ付けない雰囲気を纏う不思議な客人。彼の正体は———。見慣れた空に流れ星を見つけるような、優しい出逢いの物語。