「安くてよいモノを大量に」という経営は、働く人を、もっといえば国全体を貧しくする。脱価格競争の実例と方法を指南する。コロナ不況により多くの企業が経営に苦戦を強いられ、安易な価格競争に突入してしまう事例も少なくありません。1日も早く価格競争型経営から脱し、非価格競争型経営にシフトしなければ、受注量は確保できても利益なき繁忙状態となり、経営者も、大切な社員やその家族も、さらには仕入先や協力企業も不幸になってしまいます。本書では、非価格経営を進めるために必要な8つのポイント、さらに非価格経営のキーワードである「ブランディング」「ニッチ市場」「差別化」「いい会社」を、基に価格競争から脱することに成功した24社の実例を掲載。脱価格への道を段階的に指南します。■目次●非価格経営を進めるために必要な8つのこと「五方よし」の経営を追求する1.企業経営の真の目的・使命を果たす2.価格は需要のバランスで決定する3.価格競争型経営と段階的に決別する4.非価格経営を創造する5.創造型人材を確保・育成する6.外部有用経営資源を内部化して経営する7.適正な価格で経営する8.先進企業に学ぶ●1 ブランディングで非価格経営を実現する・ブランディング1 「健康な体ときれいな水を守る」を理念に無添加石けん市場を開拓――シャボン玉石けん株式会社・ブランディング2 オーガニックに特化して平日も満員、リピート率90%を実現――有限会社トランスフォーム他●2 ニッチ市場で非価格経営を実現する・ニッチ市場1 食品工場に特化して価格競争からの脱出に成功する――三和建設株式会社・ニッチ市場2 高品質な手仕上げによるクリーニングと障がい者雇用を実現――有限会社プラスアルファ他●3 商品力・技術力・サービス力の「差別化」で非価格経営を実現する・差別化1 素材に徹底してこだわるから値引きしない――株式会社エコ建築考房・差別化2 突出した技術レベルと適正規模志向で非価格経営を貫く――株式会社清川メッキ工業他●4 「いい会社」として価格以外の価値観経営を実践する・いい会社1 社員の持ち味を生かして、障がい者と警備業界、それぞれの可能性を拓く――ATUホールディングス株式会社・いい会社2 どんな小さな工事でも大切に対応し、地域に愛されるリフォーム会社――株式会社サクラ住宅■著者 坂本光司(サカモトコウジ)1947年、静岡県(焼津市)生まれ。経営学者。静岡文化芸術大学教授や法政大学大学院教授などを歴任。現在は、人を大切にする経営学会会長、千葉商科大学大学院商学研究科中小企業人本経営(EMBA)プログラム長、日本でいちばん大切にしたい会社大賞審査委員長、他公職多数。徹底した現場派研究者であり、この50年間で訪問調査・アドバイスをした企業は8000社以上となる。専門は中小企業経営論・地域経済論・福祉産業論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)