『メジロの来る庭』『けい子ちゃんのゆかた』『星に願いを』『ワシントンのうた』『逸見小学校』、単行本5冊を収録。
2003年から2006年までに発表された『メジロの来る庭』『けい子ちゃんのゆかた』『星に願いを』『ワシントンのうた』の単行本4冊に、庄野潤三没(2009年9月)後に発見され、未発表作品として2011年に新潮社より刊行された『逸見小学校』を収録。
著者が82歳から85歳からの4年間で書かれた「晩年の連作」第9弾にあたる『メジロの来る庭』は2003年1月から12月に「文學界」に連載し、翌年4月に単行本化され、続く『けい子ちゃんのゆかた』は2004年1月から12月まで「波」に、『星に願いを』は2005年1月から11月に「群像」に連載され、のち単行本化された。
また、庄野が生前に発表した最後の作品『ワシントンのうた』(2006年1月から12月「文學界」初出)は、「山の上の家」に暮らす夫婦の晩年を描いた連作の中で、子供のころのことや青春時代のことを中心に昔を振り返るなかで、ときおり「いま」の暮らしを描くという、やや趣きが異なった作風となっている。
さらに『逸見小学校』は没後に発見された原稿用紙180枚(文末に1949年1月21日の日付あり)を、2011年7月の「新潮」に全文紹介され、同月単行本が発売されたもので、庄野の戦争体験を題材とした作品である。
解題は監修を務める日本文学研究者・上坪裕介氏が担当。
付録として「メジロの来る庭」「星に願いを」「逸見小学校」の 生原稿冒頭等を収録する。
※この作品は一部カラーが含まれます。