「その顔、かわいいと思うぜ、オレは」
(……今、オレ、完全に無意識だった! 無意識で、かわいいとか口に出してた!)
アーヴィ族であるリトゥスは、亡くなった兄の代わりに幼いころから男の格好をして生きてきた。
正義感が高く、品行方正で剣術も強かったリトゥスは、里長の嫡男であり幼馴染のラルゴにひそかに恋をしていたが、ラルゴはリトゥスを男だと思って妬んでいた。
ある日、卑劣な事件が起き、里に入れなくなったリトゥスは旅に出た。
自分の今後を知ろうと、行商人に聞いたイケメンで女ったらしだけど凄腕だと有名な占い師ヴァルエルスを訪ねた。
確かにイケメンで、だけど常に借金取りに追われている彼の用心棒として住み込みで働くことになり、二人の距離は近づいていくが、ヴァルエルスはリトゥスが女の子だと気づかない。
経験豊富でいつも美女と戯れているヴァルエルスにとって、自身の心を掻き乱している相手が”男”であると悩みだす……。
一つ屋根の下で共に暮らすことになった二人、長年兄の影を追って生きてきて自身の性別を正直に打ち明けられないリトゥスと、そんな彼女に心を掻き乱される遊び人のヴァルエルスの生活が始まる!?
『経験豊富な占い師♂は実は不器用で照れ屋でした(4)』には「五章 その先へ」(前半)を収録