我が国における文書鑑定の第一人者である著者が、日本の鑑定史を紐解く。
そこには、目覚ましい技術の発展とそのウラにある偽物を許さないという
強い「執念」が浮かび上がってくる。
目次
第一章 文書鑑定のはじまり
I 古筆見時代
II 明治、大正時代
III 文書鑑定と警察の出会い
IV 判例が示す「文書」
V 国家地方警察本部科学捜査研究所の誕生
VI 「科学捜査」という語の由来
VII 警察庁科学警察研究所の機構改革
VIII 文書鑑定課の変遷
IX 私的鑑定人の誤った認識
第二章 筆者識別
I 初期の筆跡鑑定
1 極東国際軍事裁判(東京裁判)の筆跡鑑定
2 清水事件の誤鑑定
3 白鳥事件の筆跡鑑定
4 陽の目を見なかった鑑定方法の提案
II 筆者識別の基礎
III 筆者識別を取り巻く数々の話題
1 字形の基準
2 一部首一部首名への統一
3 「異名」に使われる「本名」の文字
4 鑑定結果を「推定」とする理由
5 スマートフォンでの異同識別
6 法務省が求めた「指紋に代わる署名の是非」
IV 【筆者識別の鑑定例】
1 「竹下登」の念書の鑑定
2 「新教育勅語」の発見と筆者の確認
3 海上保安庁が捕えた中国漁民の筆跡
4 背伸びが過ぎた大学教授
第三章 印章鑑定
I 印章鑑定のはじまり
II 大量生産されている三文判
III 適性を欠く現代の印鑑登録証明書
IV 印章鑑定法
V 「印影鑑定」と「印章鑑定」
VI 【印章鑑定例】
1 海軍省印影の押印時期を求めた鑑定
2 田中角栄を追うロッキード事件
3 印影と筆跡の上下関係(その一)
4 印影と筆跡の上下関係(その二)
第四章 不明文字鑑定
I 不明文字の定義
II 不明文字検査の基本
III 改ざん文書の非破壊検査
IV 不明文字鑑定に使われる機材
V 【不明文字鑑定例】
第五章 複製文書鑑識
I 「複製文書」と「画像形成材」という語の命名
II 印字類の鑑定
III フォトコピーの登場
IV デジタルフルカラーフォトコピー
V 感圧複写文書
VI 印刷版式と印刷方式の違い
VII 【複製文書の鑑定例】
1 法曹雑誌にある事件例
2 県知事の収賄事件の検査結果のやりとり
第六章 通貨鑑識
I 歴史的に見た贋幣事件
II 今日の偽造通貨の集中鑑識
III 通貨鑑識の問題
第七章 海外からの依頼鑑定
I ヨーロッパで偽造された東京オリンピックの記念銀貨
II FBIが捕えた日本赤軍メンバーのパスポート鑑定
III 大韓航空機爆破事件の犯人“金賢姫”の偽造日本国旅券
IV 頂いてきた韓国のニセ一万ウオン札
V FBIが逮捕した日本人窃盗犯
VI オーストラリアの邦人殺人事件の鑑定