竜巻と共に天に昇り、海底深く龍宮に潜る。天空から海底まで自在に駆ける霊獣は、古来、皇帝から人民まで、中国人が最も愛する瑞祥だった。この想像上の生きものは、いつ、どのように誕生し、人々の暮らしに浸透していったのか。中国・日本・インドの龍とギリシア神話のドラゴンとの比較。龍を食べる怪鳥、正倉院に収められた龍の骨と歯の正体。四方から財宝を寄せると言われた「銭龍」や、薬用「龍眼」、中国人が畏れる「辰年の怪」まで、長年に亘る中国取材や様々な文献史料から、龍の逸話を丹念に採取!!
本書は『龍の百科』(新潮選書 2000年刊)を加筆、改題したものです。
目次
一 龍は、どう考えられていたか
二 龍は、どう形づくられてきたか
三 龍は、どのように自然界に潜むか
四 龍は、どう変わってきたのか
五 龍は、どのように語られてきたか
六 龍は、どう暮らしにかかわるか
おわりに
索引
学術文庫版あとがき