彼のネクタイで両手を縛り、目隠しをして命じる。
「その舌で、私が達するまで奉仕しなさい」
1年前、研修先で知り合った内気なグラハムと最終日に笑顔で別れて以来、ジュリアは倒錯的な夢想に悩まされ続けている。
“わたしの部屋に来ない?”と、彼を誘いたくてたまらなかったのに、勇気が出なかった。
返事がイエスだったら、彼を部屋に入れネクタイで両手を縛るか目隠しするかして、わたしが達するまで舌で奉仕しなさいと命じただろうか。
暴れ馬に乗るように彼に跨がって、わたしの名前を彼が叫ぶまで腰を振っていただろうか。
様々な妄想が頭を駆けめぐったあと、最後に行きつくのは決まって同じ――
目の前にひざまずき、彼女の望みのままの行為をするグラハムの姿……。
やがて、運命の再会の日は突然訪れた。出張で彼の住む街で足止めを食らったジュリアは、彼に電話をかけてみたのだ。
案内されたレストランで、ディナーの間中、夢中でエロティックな妄想に耽っていた彼女は気づきもしなかった――
目の前の従順そうな彼もまた、この1年、自分へのとてつもなく淫らな妄想を膨らませ続けていたとは。