会議室に響くのは、バイブレーターの振動と喘ぎ声、
そして重役たちがごくりと唾をのむ音だけ。
ザーラは社内でプレゼンがうまいと評判だった。
堅物のお偉方を前にしたら誰だって萎縮しそうなものだけど、ザーラは違う。
プレゼン30分前になると、ザーラは社屋の4階にある誰も使わない化粧室に入り、鍵をかける。
大きな鏡に映る自身の目をまっすぐに見つめながら、ブラウスのボタンを外していく。
オカズは会議室のCEOや取引先の男たち。
バイブをあてがい、卑猥なショーを披露するザーラを、
彼らは股間をぱんぱんに膨らませながら見ている――そんな妄想の中で彼女は達する。
オーガズムという強力なドーピングは、プレゼンを成功させるための秘密の儀式だった。
頬の火照りや、にじみ出る“満たされオーラ”が消えないうちに会議室に行かなきゃ――
ところがザーラは、化粧室を飛び出したところで見も知らぬ男性とぶつかってしまう。
まさかこの人、ずっとここにいたの……? わたしの声を、聞いていた……?