あらすじウィーンの祭で私はヴァイオリンを演奏するみすぼらしい老人に出会い、生い立ちを聞き出すことに…流しの芸人や作曲家のシューベルトなどに触発されて書かれたとみられるこの作品は、それら外面的な装いを借りて、内面的な自画像を描き、自己告白的な作品となった。同時に、本作は滅び行くウィーンへの挽歌でもあった。あわせて不倫の恋の行く末を描いた「ゼンドミールの僧院」を収めたが、こちらではグリルパルツァーの劇作家としての本領がうかがいしれる。