なんの変哲もない女子高生だった鈴宮涼夏は、学校の帰り道に、突如アスファルトに空いた黒い穴に吸いこまれた。
突然のことに何もわからないまま、穴から出た先で、狂ったように笑う男に首を切られてしまう。
それでも不思議なことに涼夏は生きていた。
意識を失い道端に打ち捨てられていたところを、氷魔法を扱う騎士・エヴラールに保護される。
目覚めた涼夏は襲われた恐怖と、首がない感覚にパニックになるが、なぜかエヴラールの声だけは聞こえて、なだめられる。
エヴラール曰く、どうやら涼夏は異世界に召喚されたらしい。
この世界に召喚されたものは、他社から魔力を供給される必要があり、魔力過剰症に悩むエヴラールが涼夏と契約を結んだために、お互いの心の声が聞こえるようになったという。
さらに涼夏の首には魔術がかかっていて、それが離れた頭とつながっているおかげで死ななかったようだ。
この世界では最近、目と髪の色が同じ『同色持ち』と呼ばれる女性が殺され、頭を持ち去られる事件が続いており、エヴラールはその調査をしていた。
黒髪黒目の涼夏も今回の事件の被害者で、唯一の生き証人として犯人を捜すことにしたが――。
異世界から召喚された首なし少女と、壮絶な美貌をもちながら膨大すぎる魔力に悩まされる氷の騎士。
顔が見えなくても甘々いちゃいちゃな二人が、すれ違いながらも恋をするお話。
『首なし少女は氷の騎士と手をつなぐ(5)』には「氷の騎士編 恨みたかった、恨まれたかった」(後編)~「番外編 ほたるのひかり」を収録