「奴にはまだ見込みがあるぜ……」
二親からも世間からも捨てられ、皆に嫌われる乱暴者の捨吉。
彼を信じて目をかけた栄三郎は、意外な男との縁を取り次ぐ。
「仕立屋お竜」「居酒屋お夏」の著者が贈る、人情時代劇の名作
「手前を信じやがれ!」居酒屋“そめじ”で栄三郎が叱責した相手は、人呼んで“山犬の捨吉”。
金貸しの下で取立てをする乱暴者だ。誰にも好かれぬ男と栄三の意外な組み合わせに周囲の客たちは眉をひそめるが、栄三は捨吉の目に無垢な光が宿っているのを見逃さなかった。
二親に捨てられ世間から見放された若者に再起の機会を与えるべく、栄三は“ある男”と引き合わせる。