「配色によって詩を綴ることもできるといったら理解できるだろうか。音楽で誰かの心を慰めるのと同じだ――」
その”絵と言葉”で、わたしたちの心を惹きつけてやまない画家、ゴッホ。本書は、彼の最高傑作が生まれた南フランスでの3年間に書かれた260通のうち、半数の手紙を軸に据えた「手紙とスケッチと完成作品」でゴッホを読む1冊です。
家族や画家仲間に宛てた数々の手紙の中で、ゴッホはスケッチを添え、制作中の作品について語っています。
現在、私たちが目にしている作品を描いているまさにその時、画家は何を考えていたのか――当時の彼が置かれていた環境や時間の流れを感じながら、プロヴァンス地方の明るい色彩を写し取った美しい作品群をお楽しみいただけます。
感情に任せて筆をふるったと語られることの多いゴッホですが、手紙の文面には刺激を受けた作家や画家の名前があふれ、理知的に試みながら絵を描いていたことが伝わってきます。描くことに懸命に向き合い、もがきながらも光を求めた彼の切なる“声”は、人間の普遍的な物語として、現代を生きる私たちの心にも響いてくるようです。
ゴッホの生きた世界をイメージする手がかりとして巻頭に「人物紹介」、巻末に「トラベルガイド」を収録しました。画家の姿が瑞々しく立ち上がってくるような手紙文とともに、あたらしいゴッホの人間像をご堪能ください。
【上白石萌音さん(俳優・歌手)推薦文】
ゴッホが、ゴッホの絵を語る。
光の色、木々の色、季節や時間と共に移ろう心の色……
ゴッホの目に世界はどう映っていたのか、本人の言葉で明かされています。益々、好きになってしまう人です。