約50年前、東南アジアに1つの国が誕生した。マレーシアから分離独立した“シンガポール”である。だが、シンガポールは、自ら望んでその独立を果たした訳ではない。資源も、産業も、軍事力も、人材も、土地も、何もないシンガポールは、マレーシアから追放される形で、無理やり独立させられてしまったのだ。東京23区よりも少し広い程度のこの小国の前途は、余りにも多難に見えた。だが、みなさんもご存知のとおり、現在のシンガポールは、1人当たりのGDPではとっくに日本を抜き、世界でも有数の富裕国となっている。シンガポールはいかにして、この奇跡とも言える発展をなし遂げたのか。シンガポール在住7年目の著者が、シンガポールのカラクリを解き明かす。