あらすじ敗者や弱者に同情する感情を表わす「判官(ほうがん)びいき」という言葉がある。この義経についての評は、その大半が本書の原典に由来する。本書に描かれるのは平家追討に華々しい活躍を見せた武人としての義経ではなく、波瀾万丈で破天荒な、逃亡する英雄の姿だ。金売り吉次、牛若丸の伝説にはじまり、伊勢三郎、武蔵坊弁慶、佐藤忠信らの活躍、静の悲運と吉野山のくだり、山伏姿での奥州めざしての一行の逃避行など、数々の有名な場面が織りなす冒険物語。