十数年後、私はパリのシャンゼリゼ公園でジルベルトに再会し、二人の関係は友達づきあいから、熱烈な恋愛へと変容した。一方で私はスワン夫人への情熱にも惹かれて夫人の邸を訪れた。しかししばらくすると私の勝手な行動と性格がジルベルトに嫌われるようになり、プライドを傷つけられた私は何年にもわたってジルベルトを避けることになった。二年後、私は祖母とともに、ノルマンディ地方にある海岸の保養地バルベックヘ行った。祖母の旧友でゲルマント公爵夫妻の叔母にあたるヴィルパリジ夫人に会い、夫人は甥のロベール・ド・サン=ルーを私に紹介した。サン=ルーと私はたちまち親友になった。ヴィルパリジ夫人は甥のシャルリュス男爵も私に紹介した。シャルリュス男爵は奇妙な言動のある人物だが、私はそれが男爵の倒錯した性癖に由来していることを、長いあいだ知らないままであった。バルペックでは美しい娘たちに出会ったが、その中でもアルベルチーヌに惹かれた。