九条の現実性と自衛隊の現実性にひとしく目配りをして、その共存の道を探る松竹さんのような人のことを、真のリアリストと呼ぶのだと思う。──帯文・内田樹世界中で分断と排外主義がはびこるいま、必要なのは、異論を認めたうえで対話を重ねる態度! 憲法九条を守りつつ、自衛隊の存在も肯定するという自身の立場から、歴史認識、自衛隊の海外派遣、慰安婦問題、拉致問題、核の抑止力……など意見が対立する数々の難題に対して、保守・リベラル双方の対話の場をつくってきた自称「超左翼おじさん」の著者が説く、共存の作法。九条を大事だと思っている人も、自衛隊をリスペクトしている人も、あるいは改憲を求める人も、日本が平和な国であってほしいということは共通しているのである。『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』が出版された当時、日本と世界の現実が変化するなかで、これらの異なった考え方を結びつける条件、可能性が生まれていた。ところが現実は、お互いが相手を憎んでいるように見える。もっとお互いをよく知ろうではないか、異論は共存できるのだ、日本戦後史で最大の分断を乗りこえようと、私は訴えたかったのだ。(まえがきより)【目次】まえがき第一章 九条と自衛隊が共存する時代 改憲論議は終わった1 安倍「加憲」案が頓挫したことの意味2 専守防衛と九条が響きあう理由と背景3 自衛隊の海外派遣も九条と合致する場合がある第二章 左右が一致する防衛問題の政策と法律をつくる1 「自衛隊を活かす会」の結成とその問題意識2 新時代の専守防衛の神髄は核兵器抜きの抑止3 国際刑事法典を日本で制定すべきである第三章 歴史認識でも左右の対話と合意が不可欠な理由1 慰安婦問題での左右の対話の経験と教訓2 「日本会議」も対話の相手になるのではないか3 大館市が保革ともに中国人犠牲者を慰霊する理由終章 立場の違う人びとが対話するということ1 拉致問題や福島の問題でも同じ試み2 立場への共感以前に「心」の通い合いが大事だ補章 産経新聞デジタルiRONNAへの投稿から1 百田尚樹『日本国紀』を読む2 共産主義国に生まれたら、「コミューン革命」をめざしていた3 北朝鮮の核・ミサイル問題を解決する「最適解」は何かあとがき