ハイスミスの処女長編。若い建築家ガイは、妻と離婚するため故郷へ向かう列車の中でチャールス・ブルーノーと名乗る青年に出会う。彼は富豪の息子で、異常なまでに父を嫌っていた。それを打ち明けられたガイはふと、妻とのトラブルに悩んでいると話す。彼の妻ミリアムは、他人の子供を身ごもっていたのだ。ガイに同情したチャールスは、驚くべき計画を持ちかける。彼がガイの妻を殺すかわりに、ガイに自分の父を殺してくれと言うのである──異常な状況に置かれた人間たちの心理と行動を綿密に描き出した、心理小説、サスペンス小説の傑作。