あらすじセーヌ左岸、カルチエ・ラタンに近い閑静な住宅街で老人が殺された。すでに事業を退き、一人娘も嫁いで、夫人とともに悠々自適の生活を送っていたこの老人一家のどこに、殺人事件に巻き込まれるような影の部分があったのか? 現場の状況は犯人が被害者とかなり親しい間柄にあることを示していたが、被害者はもちろん、周囲の人物もすべて「善良な」人々ばかりで、メグレには犯人像は浮かんでこなかった。