犬士の所在はすこしずつ明らかになっていく。偶然の出来事から荘助とすりかわった玉を持つことになった犬山道節《どうせつ》もその一人だった。主君と父の仇、扇ケ谷定正《おうぎがやつさだまさ》の命をねらう道節に加勢する四犬士だが…苦境をのがれて再びちりぢりに落ちていく。馬加大記《まくわりだいき》の陰謀への加担をことわって命をおとすところだった小文吾を救う、田楽一座の花形の美少女、旦開野《あさけの》も、じつは身を隠した犬士だった。いつの間にか長い年月が流れる。彼らは首尾よく出会い、あるいはすれちがい、なかなか全員が顔をそろえることができない。