暗闇が消えると何が失われるのか?生物学者が詩的に綴る、感動の科学エッセイ。2022年度 英ウォーターストーンズ ポピュラーサイエンス部門ベスト・ブック獲得スウェーデンから、アメリカ、ドイツほか各国で続々翻訳闇がなければ光はなかった 闇は光の母 ――谷川俊太郎いま、街灯の照明をはじめとする人工の光が、多くの夜の自然の光を奪っている。その結果、古来から続く生物の概日リズム(体内時計)を乱し、真夜中に鳥を歌わせ、卵から孵化したウミガメを間違った方向へ誘導し、月明かりの下の岩礁でおこなわれるサンゴの交配の儀式すら阻害している。本書は、人工の光による自然への影響(=光害:ひかりがい) をひもとき、失われた闇を取り戻そうとする呼びかけである。