青春の地をたどる、著者の「神戸物語」。
――神戸に一度でも住んだことのある外国人は、世界のどの都市にも住みたいとは思わなくなるという。……「早春」は小学生の頃から特別な親しみを抱いていた神戸を妻とともに何度も訪ねる話だ――(著者あとがきより)
大阪府出身ながら著者自ら“青春の地”と称する神戸を、著者の同級生や神戸在住の叔父夫婦、貿易商の郭夫妻らとの交流を通じ、さまざまな角度からとらえていく。
会話を丹念に再現することで、戦時中の悲しい思い出や戦後の復興期、ポートピアに沸く人々の華やいだ気持ちなどが手に取るようにわかる、今昔の神戸を描いた秀作。