1900年初夏。十八歳の須田航平は、絵の才をいかし街頭で似顔絵描きをしながらその日暮らしを送っていた。
街のチンピラたちに全財産を奪われて途方に暮れていると、明治新報の女性記者高宮尚美に拾われる。尚美はさる陸軍大将の次女で旧弊な家を嫌って飛び出し、当時としては珍しい働く女性として人生を謳歌するモガであった。
彼女の計らいで明治新報の挿絵画家として働くことになった航平は、尚美の弟と偽って彼女の下宿に転がり込む。大家は当時の時代の大立者岸田吟香で、息子に後に日本画壇で名をあげる劉生や宝塚劇団で演出家として鳴らした辰彌がいた。
幼ない劉生は航平の画帖を見て凄い!と目を輝かせる。
航平と尚美はやがてわりない仲となり、夜ごとくんずほぐれつの痴態を繰り広げる。そこに結婚生活に不満を憶える尚美の姉、毎日賄いを用意してくれる美しい母屋のお手伝いの娘などが絡み…。
激動の明治後期、須田航平、人生と女体の大遍歴!