【内容紹介】
「背中を撮って絵になるのは健さんだけ」
無言で魅せた“演じすぎない”美学
松田優作をして「日本映画の宝」と言わしめた名優・高倉健――。
日本映画を代表する名優も、デビュー当初はなかなかヒット作に恵まれず、「背が高くて美男子だけど、役者としては難しいんじゃないか」(降旗康男監督)と見られていた。
しかし、『日本侠客伝』がヒットすると一躍、任侠映画の看板スターに。東映を辞めた後も映画にこだわり続け、生涯で205本の作品に出演し、名実ともに日本を代表する映画スターとなった。
スクリーンで唯一無二の存在感を放った名優は、撮影現場で何を思い、いかに自分の演技と向き合っていたのか――。
メディアにはほとんど出演しなかった高倉健を18年にわたって追い続けたノンフィクション作家・野地秩嘉が、高倉健の演技の神髄に迫る。
・アクションシーンで動ける体を作るために、70歳を超えてからもジョギングを欠かさなかった
・撮影現場では冗談も飛ばすしリラックスしていたが、カメラが回った瞬間、現場の空気が変わる
・市川崑監督との無言の闘争
・時代劇のカツラが嫌いだった
・高倉健が撮影現場で怒ったこと
・言いたくないセリフは飛ばす
・ストンと落ちたものを自分の体に染み込ませてから演じる
生前の本人のインタビューはじめ、國村隼、加藤登紀子、降旗康男、市川崑、チャン・イーモウなど、共演者やスタッフの貴重な証言をもとに、撮影前の準備から撮影現場の秘話まで、高倉健が貫いた演技の美学をひも解く。
高倉健ファン垂涎の一冊。
【著者紹介】
[著]野地 秩嘉(のじ・つねよし)
1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュをはじめ、ビジネス、食や美術、海外文化などの分野で活躍中。『TOKYO オリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『高倉健インタヴューズ』『トヨタ物語』『スバル ヒコーキ野郎が作ったクルマ』『日本人とインド人』『京味物語』『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』、近刊に『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
【目次抜粋】
はじめに
第一章 高倉健を生んだ「覚悟」
第二章 任侠映画のスターとして
第三章 スターから名優になった1977年
第四章 頂点のままで
第五章 四十七人の刺客
第六章 チャン・イーモウが見た高倉健
第七章 降旗康男監督が見た高倉健の演技
第八章 高倉健の演技の流儀
終章 共演者が見た撮影現場の高倉健
・國村隼 「日本映画界の宝」高倉健と松田優作から教わったこと
・加藤登紀子 現場の空気を変える沈黙の演技
おわりに