幼くして娼婦の母を亡くしたマーリャ。
娼館を追い出され森の中を彷徨い、ドゥラーク伯爵家の荘園にたどり着いた。
あまりの空腹に果物を盗んで捕まってしまうが、マーリャの前に現れた、まるで天使のような美しい少年エルヴァン・ドゥラークは、マーリャに果物を与え孤児院へ行かせてくれたのだった。
時がたち、ほんの少し瘴気をはらえる程度の力を持ったマーリャは、薬師として診療所で働いていた。
ある日、マーリャの元に貴族の使いがやってきた。
どうやら瘴気を浄化する力を持つペリシエン家の令嬢(聖女)の代わりにとある領地に代わりに行けということだった。
嘘がばれないためにと持たされた指輪は、自分の許容量をはるかに超えて瘴気を浄化できる不思議な力をもっていた。
身代わりに戸惑うマーリャだったが、聖女を望んでいるのがドゥラーク伯爵家だと知ると、かつての恩人であるエルヴァンを思い、聖女の身代わりになることを決めたマーリャ。
「あの日の恩を返したい」
マーリャはエルヴァンの力になれるかもしれないと思いながら領地に向かったが、再会したエルヴァンは、氷のように冷たい人間に変わり果てていた――。
「帰りなさい。どこの馬の骨とも分からぬ女を迎え入れるつもりはない」
最初はマーリャを拒絶する伯爵だったが、身を削りながらも領地を救おうと奮闘する彼女に徐々に惹かれていく。
しかし、瘴気を取り込みすぎたマーリャは倒れてしまい、エルヴァンは治療だと言ってマーリャの身体に触れ始める……。
『偽聖女は初恋の伯爵様に抱かれる(3)』には「近づく距離 」(後半)~「新たな浄化」までを収録