最近、貴族たちの間で『聖夜の雫』と呼ばれる怪しい薬が広まっているという。
そんな中、女騎士エルシーは同期入団の騎士ジェラルドと貴族夫婦を装い、社交界で潜入捜査するよう命じられた。
目的は二ヶ月後に行われる薬物蔓延の首謀者の夜会に招かれること。そこで首謀者たちを現行犯で捕まえるのだ。
しかしエルシーはどうにも気が進まない。というのもジェラルドという男は、顔は良いが性格が悪いのだ。いつも余計なひとことがあり、言動が気に食わない。エルシーとは相性が悪く、一緒に組むと大体もめていた。
「相手役を変えて欲しかったら早めに言った方がいいわよ」
「いや、お前でいい」
「お前で、ね!」
しかし偽装夫婦を装って捜査しているうちに、ジェラルドの意外な一面も見えてきて、あいかわらず喧嘩をしつつもエルシーはジェラルドのことが気になるようになっていた。
捜査の目論見通り、二人は社交界で顔が知られていく中、薬物の首謀者とも近付いていき――。
素直になれない騎士バディのケンカップルラブ!
『偽装夫婦は素直になれない【分冊版】3』には『5.恋』(後半)~『7.エピローグ』までを収録