夏休みにぼくはブロック塀に向かってボール投げをしていた。大魔球を投げたつもりが、塀を越えて家のガラスを割ってしまった。そこで出会ったのが、じっちゃ先生だった。じっちゃ先生は前に学校の先生をしていたそうだ。おじいさん先生だから、ぼくはこうよぶことにした。それからじっちゃ先生は、ぼくがガラスの弁償代としてあげた100円でふたつの鉢植えを買ってきた。どっちの花も枯れそうだったけど、じっちゃ先生は、枯らさない競争をしようと言った。そして、しあわせの花1号、2号と名前をつけた。じっちゃ先生は、カブトムシも触れないし、キャッチボールもできない。山登りの時はぼくがお尻を押してあげた。魚釣りも初めてだと言った。でも、じっちゃ先生からもいろんなことを教えてもらった――。仲の悪い両親と暮らし、学校ではいじめられている健太。じっちゃ先生との出会いによって成長していく姿を描いた夏の物語。小学校高学年から。