信州大学医学部特任教授の大橋俊夫先生が、世の中に伝わっている健康情報の中で、いちばん懸念していることは「油」が悪者扱いされてしまっていることです。油を悪いものと決めて極端に控えてしまう人も少なくありません。もちろん、油には有害な面もあります。しかし、油は人間の体の働きにとって重要な役割を持っています。たとえば、新しい細胞は油がなければつくり出せません。若さを保つ男性ホルモン、女性ホルモンの材料も油です。そして、免疫を上げる腸のリンパは油と共に吸収されるのです。世の中の健康常識では「いかに油を減らすか」ということが強調されていますが、世界の最先端の研究はむしろ逆の方向です。「吸収能の衰えた中高年に、いかに油を吸収させるか」が大きなテーマなのです。長生きの秘訣は「油」を味方にすることです。