主人公の計介(けいすけ)は、凄腕の経営コンサルタントである。彼がこの職業に就いた目的は、失くしたものを取り戻すためだった……。計介が学生だったときに、父親の経営する工場が倒産。しかし、手を差し伸べてくれる人は誰もおらず、一家は離散となった。計介は己の無力さを恨み、猛勉強の末に、誰にも負けない財務会計の知識を得たのだった。しかし反面、人を信じる心を完全に失くしてしまう。以来、誰にも心を許さず、仕事での人付き合いもすべて、ビジネスとして割り切ってきた。今の計介が信じられるのは、「金」と「数字」と「自分」だけである。そんな計介が、ある一人の女性に小さな会社の再建を依頼されてから、物語は大きく動き出す。本書は、そんなドラマチックなストーリーを追っているうちに、いつのまにか損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)を「つながり」で理解できてしまう、魔法の会計入門書である。