明治維新の躍進から日清・日露戦争の勝利を経て、なぜ日本は「敗れる戦争」へと突き進んだのか? 政治の迷走、軍部の独走に翻弄され、なぜ日本の国策は「一元化」できなかったのか?本書は“近代未満の存在”に終わった「日本陸海軍のキーパーソン」25人の理想と挫折をたどり、戦前日本の“失敗の本質”を読み解く――。「文官」と「武官」で教養知識が分断され、総合的な「発想力」が欠如したままの国家戦略。国民の統制は必要不可欠と考え、他者の「自由・独立」を理解できなかった帝国陸軍の「統制派」たち。金科玉条の「対米艦隊決戦」に引きずられ、なぜ文民が軍縮条約を決めるのかと強硬に反対した帝国海軍の「艦隊派」たちなど、最優秀の人材を集めながら、戦前の日本が敗れた理由が見えてくる。今も変わらぬ日本の「パワー・エリート」の限界と陥穽を鋭く衝いた一冊。