男の子は女の子に比べて幼い、と著者は言う。だからといって親が焦って何でもかんでも先回りして教えると自立した男の子には育ちにくいし、自分から前向きにものごとに取り組む子どもにはならない。社会が男の子に求めるものは負けないタフさや転んでも起き上がってくる力だ。それは親の子どもへの向き合い方、接し方で上手に引き出せるものだ。著者が理事長を務めるサレジオ学院は神奈川県下有数のカトリックの男子進学校だ。著者は長年にわたり男子生徒と向き合い、「25歳の男作り」を校訓にかかげ、長く広い視野で男子教育を行なっている。25歳をひとつの節目として、そこをめざして成長を見守ろうという意図だ。結果を求めて成長を急がせるあまり自分で殻を破れない子では将来は危うい。本書では、引っ込み思案、自信がない、自分で決められない、そんな男の子を持つ親ごさんへ、子どもが勉強や人生に前向きな向上心を持てるよう、親のかかわり方をやさしく説いている。サレジオ修道会の教えに裏打ちされた教育観は、まじめに子育てに向かう親ごさんほど得るものが大きいだろう。