ケガをしたときや病原体に感染したときに発生する炎症は、傷を負った組織を修復した直後、あるいは、病原体をやっつけるとただちに止まる。しかしこれが止まらずに、知覚できない程度に低いレベルでいつまでもつづくのが、「慢性炎症」である。慢性炎症は、健康な神経細胞や組織や血管に長期にわたって傷をつける。脳の神経細胞を殺すとアルハイマー病、血管の炎症が止まらないと心臓病を引き起こす。また、遺伝子にダメージを与えるとがん、インスリンの効きを悪くすると肥満や糖尿病が発生する。慢性炎症は摂取する油のバランスが偏ることで発生する。サバやサンマなどの青魚の油は炎症の抑制につながるが、植物油の大量摂取は炎症の促進を引き起こす。また、GI値の高い糖分を多く摂ると慢性炎症が生まれるから注意が必要だ。本書ではこれらの事実を踏まえ、大病を防ぐおいしい食習慣「抗炎症ダイエット」を提案する。