以前から著者は、「現代のように変化の速い時代には理系発想のほうが有利であり、ビジネスチャンスもつかみやすい」と主張し続けている。著者の定義する理系発想とは、従来の常識や権威にとらわれず、「何事も試してみないとわからない」と考えてみたり、本当にそうなのかを実地で観察しようとしたり、あるいは統計数値や追跡調査にあたって根拠(エビデンス)を求めようと努めたり、それに基づいて議論を行う――という思考態度のことである。しかし著者によれば、実は日本の教育――とくに高校までの教育――では、そうしたことが教えられてこなかったという。社会に出てからも、理系発想を学ぶ機会はなかなかない。学校や社会が教えてくれないのであれば、自分で身につけるしかない。それを、文系出身の人にもわかりやすい形で伝えるのが本書の目的である。「ダマされたくない」「損をしたくない」「説得力を身につけたい」と願う人々にもおススメの一冊。