特集1は「安倍時代を問う」。安倍晋三元首相が凶弾に斃れてから1年が経った。「美しい国へ」「戦後レジームからの脱却」などのスローガンを掲げ、戦後日本のあるべき姿を問いかけた姿は、保守層を中心に期待を集めた。とくに「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱した外交政策は高く評価されているが、一方で悲願とされていた憲法改正には着手しなかったことを象徴に、政策の一貫性については疑問視する声もある。歴代最長政権は、はたして日本に何を残したのか。没後から1年が経ついま、安倍時代の光と影を問う。戦後日本の保守の矛盾と使命を説く佐伯啓思氏や、左派と奮戦した安倍元首相の姿を振り返る兼原信克氏の論稿のほか、自民党の福田達夫議員と大野敬太郎議員の対談や、立憲民主党の野田佳彦元首相のインタビューなどを掲載している。特集2は「語られざる『現代日本の歪み』」。テロリズム、自殺、ヤングケアラー、貧困など、現代社会で噴出している日本の闇に迫る。ChatGPTと教養について議論する長谷川眞理子氏と森本あんり氏の巻頭対談や、世界的な知性として知られるニーアル・ファーガソン氏の独占インタビューも掲載。安田峰俊氏による注目の新連載「『中国嫌い』のための中国史」も今号よりスタート。