「たとえば(パリ郊外)ジヴェルニーにあるモネの池は、手鏡。丸く広がり真ん中にかわいらしい花をちょこんとつける睡蓮は、ブローチ。モネは女性が『かわいい』と思うモチーフを追求し続けていた」「モネの睡蓮の池こそが、ジャポニスムの影響をふんだんに受けた作品」……。日本画家・平松礼二は24年前、オランジュリー美術館の「モネの部屋」で衝撃を受けて以来、モネの足跡をたどり、彼が北斎や広重をはじめ、ジャポニスムの影響を受けていたことを実感し、そのモチーフを日本画に変える挑戦を続けている。「彼の睡蓮の絵を見ると、驚くばかりに美の技術を極め、明白にモチーフを表現する画家の才能に感嘆するばかりだ」と語るのは、フランスのポンピドゥー美術館事務局長、ディエゴ・カンディール氏。こうして、美は永遠につながっていくのだ。本場フランスをはじめ、ヨーロッパの人びとを魅了してやまない日本画家が“画家の視点”で語る、いままでにないモネ論。