あらすじ放語の夫々は、私の周辺から、私の耳に入って来たものばかり、とりたてて、感動あいたことは、記憶に残ってはいない。ヒョコッと飛び出したといったものばかり、殊更めいたものはない。なんでもないことが、私を支えてくれていることであると気づき始めた。勿論、私の、いつかの時、言ったことには違いないが、記録にとどめていただいた無弟さん――鳥取の奥の倉吉で、板画を、退職後の楽しみに刻んでいらっしゃる先生――のお人柄から錬りあげた語録であると言った方が適当なのかも知れない。その中のいくつかの言の葉を選んでみた。