没後三十年。真の知識人「山本七平」の叡智が時を越えて光彩を放つ――。日本社会で営々と築き上げられてきた「働き方」を変革していくことが、近年の社会環境や生活様式の変化と相まって、急速に求められています。しかしながらその「働き方」の根底にある日本人の労働観、さらには「仕事の思想」といえるものを私たち日本人はどのように把握し、どれだけ意識してきたといえるでしょうか・・・・・・。かつて、この日本人の労働観の原点というものに着眼し、その考究に情熱を傾けたのが故・山本七平氏でした。本書ではまず序章で山本氏が捉えていた日本人の「仕事の思想」の系譜の再把握を行い、以降の章で、日本思想史上、山本氏が重要視する人物(最初の日本教徒・不干斎ハビアン、そして鈴木正三)への理解を深め、さらに江戸期から近代の渋沢栄一まで、「仕事の思想」がどう繋がるかの論究を試みています。著者は石田梅岩の研究で知られる気鋭の思想史学者です。