19世紀後半以降、世界史上で初めて成立した通貨体制は、ポンドを決済通貨とする金本位制であった。しかし第一次世界大戦後、ポンドはドルとの熾烈な為替戦争に敗れ、その座を譲る。そして、第二次世界大戦後のIMF体制の成立と共に、ドルは世界経済を支える基軸通貨となる。1971年のニクソン・ショックをもって、パックス・アメリカーナの時代は実質的に終わる。しかし拡大至上主義にとらわれたアメリカはその後もドルを撒き散らし、国内の貯蓄率はますます低下、対外債務は拡大の一途をたどる。ドルの暴落により世界大恐慌に陥るという悪夢は、もはやいつ起こってもおかしくないと著者は論ずる。本書では、大胆にして鋭い予測で定評のある著者が、通貨興亡100年の歴史を克明に分析。ユーロとドルの可能性、そして世界経済の新たな枠組みを展望する。