あらすじPHP研究所創設70周年記念出版「日本の企業家」シリーズ10巻目。大原孫三郎はその多彩な人生、そして大原美術館開館などの社会事業家としてのすぐれた事績によって世に知られる企業家だが、いまもって彼の経営者としての実力はよく認知されていない。そこに着目し、その真価を見極めようと試みた編著者は、戦前日本の紡績・織物業の研究を長年続けてきた研究者であり、本詳伝を記す中で、孫三郎の周囲に存在した有為な人材に注目し、彼らの衆知を活かして卓越した業績を残し、同心戮力(どうしんりくりょく)という現在のクラボウ、クラレに継承される理念の具現化を果たした経営者像を浮き彫りにした。さらに第二部I章の論考「倉敷紡績の経営分析―いかに競争優位を確保したのか」(執筆者・結城武延)では各経営指標をもとに検証・分析も行なっており、倉敷紡績の経営を基盤に、地域創生の実現に尽くした企業家・孫三郎の新たな魅力に迫った一書である。