「多死時代」に突入した日本。今後20年以上に渡って150万人規模の死者数が続く。遺体や遺骨の「処理」を巡って、いま、“死の現場”では悩ましい問題が起きている。首都圏の火葬場は混み合い「火葬10日待ち」状態。遺体ホテルと呼ばれる霊安室ビジネスが出現し、住民運動が持ち上がっている。都会の集合住宅では孤独死体が続々と見つかり、スーパーのトイレに遺骨が捨てられる――。原因は、地方都市の「イエ」や「ムラ」の解体にある。その結果、地方で次々と消える寺院や墓。地方寺院を食う形で、都市部の寺院が肥大化していく。都心では数千の遺骨を納める巨大納骨堂の建設ラッシュを迎えている。だが、そこに隠される落とし穴――。日本を覆い尽くさんばかりの「無葬社会」の現実。現代日本における死のかたちを通して、供養の意義、宗教の本質に迫る。ベストセラー『寺院消滅――失われる「地方」と「宗教」』の著者、渾身の第2弾。【目次】(第1章) 彷徨う遺体と遺骨 火葬10日待ちの現実 遺体ホテルが繁盛する時代 増える献体、捨てられる遺骨 ほか(第2章) 変わりゆく葬送 葬儀のない葬儀場 都心のビルに一万基の遺骨 日本海に浮かぶ散骨島 ほか(第3章) 縁を紡ぐ人々 孤独死を防ぐ縁のかたち 路上生活者を供養する僧侶 難民キャンプに図書館を ほか(第4章) 仏教存在の意義 ~原始仏教研究者・佐々木閑氏に聞く~ 日本仏教の特殊な成り立ち 今を生きる人のための仏教 社会の受け皿としての仏教 ほか