《アダム・スミス生誕300年》市場とは、労働とは、豊かさとは――。『国富論』は、経済と社会のしくみ、本質を、わかりやすい例と平易な言葉で解き明かした政治経済学の金字塔です。いまなお多くの方々が必読書として推薦されており、現代への示唆に富む内容といえます。本書は、たとえば日本経済新聞を読むように、日常の言葉に移し替えた画期的翻訳で多くの方から好評を博してきた単行本を文庫化したもの。難渋な翻訳調の文章を前に諦めていた方も、古典中の古典である『国富論』を読む好機です。中巻は、「第三編 国による豊かさへの道筋の違い」と「第四編 経済政策の考え方」を収録。ローマ帝国崩壊後のヨーロッパ経済史を振り返り、輸入抑制や輸出奨励など重商主義政策を批判。植民地政策の誤りを指摘しています。さらに市場独占の弊害を取り上げ、「見えざる手」が社会の利益を高めることに言及します。【目次】第3編 国による豊かさへの道筋の違い 第1章 豊かさへの自然な道筋 第2章 ローマ帝国の崩壊後に生まれたヨーロッパの旧秩序と農業への障害 第3章 ローマ帝国崩壊後の都市の発生と発展 第4章 農村の発展に対する都市の商業の寄与第4編 経済政策の考え方 第1章 商業中心の考え方、重商主義の原理 第2章 国内で生産できる商品の輸入規制 第3章 貿易収支が自国に不利とされる国からの輸入に対するほぼ全面的な規制 第4章 戻し税 第5章 輸出奨励金 第6章 通商条約 第7章 植民地 第8章 重商主義の帰結 第9章 重農主義――土地生産物が国の収入と富の唯一の源泉または主要な源泉だとする経済政策の考え方