■日本を熱狂させ、失望させたカリスマ カルロス・ゴーンとは何者だったのか?2018年11月に突如逮捕されたカルロス・ゴーン氏。倒産寸前の日産自動車を再建し、カリスマ経営者として脚光を浴びた男は一夜にして転落した。会社を私物化して日産に損害を与えたという「特別背任」などの罪に問われている。今や、その存在が“全否定”されたかに見えるゴーン氏。「日経ビジネス」が追い続けた20年の軌跡をたどると、知られざる姿が見えてくる。■20年の支配の“功罪”を検証 経営手腕は本物だったのか?ゴーン氏が日産のV字回復で見せた手腕は実に鮮やかだった。来日後すぐに現場の生の声を吸い上げてプランを練り、有能な人材を引き上げ、組織を変えて、成果を生んだ。本書では緊迫する当時の社内の様子、経営幹部の苦悩、部品メーカーとのせめぎ合い、そして日産がどう変化したかをエキサイティングに描く。■いかにして絶対権力を握ったのか? 日仏連合を支配する“皇帝”になった理由提携時の契約では、「CEOとCFOは日産が決め、COOはルノーから出す」ことになっていた。だが、COOになったゴーン氏の手腕に日本人の経営陣は感嘆。リストラやコスト削減で生じる反発の矢面に立つCEOにゴーン氏を就けた。カリスマに「依存する」道を選んだことが、ゴーン氏が皇帝のように君臨する道を開いた。■「幻の日仏米連合」「不平等条約」… 歴史から見えるゴーン氏の野望と実像本書ではゴーン氏が狙った米ゼネラル・モーターズとの幻の資本業務提携や、日産とルノーの「不平等条約」の実態など、日経ビジネスが追い続けたゴーン氏と日仏連合の20年間の軌跡を克明に描く。