仕事や人生でビジネスパーソンは誰しも“壁”や“迷い”を経験します。順風満帆な時があっても、やがて行く手を阻む壁が現われたり、仕事や人生の岐路での決断に迷ったりといったことに直面するのは珍しくありません。そのようなとき、一体、どのようにすればよいのでしょうか。実は、“壁を乗り越える”、“迷いを払拭する”効果的な方法があります。それは、経験豊富な先達に教えを乞うことです。本書には、その教えが詰まっています。本書の著者である中鉢良治氏は、世界的なエレクトロニクスメーカーのソニーを率いた経営者として知られていますが、同社入社前は大学院で博士号を取得し研究者を志した時がありました。ソニーには技術者として入社して開発畑を進み、やがて技術マネジメントの業務を担当、技術者から経営者へとビジネスパーソンとしての人生の舵を大きく切っていきました。現在は、産業技術総合研究所理事長として、国立研究機関の指揮を執っています。企業で研究開発から経営までを務め、そして日本の研究機関をマネジメントするといった多様な経験の中で、中鉢氏は仕事や人生の“壁”や“迷い”をいくつも直面し、何度も悩んで乗り越えてきました。その過程で培った、日本の産業や社会に対する見方、職業人としての考え方は、多くのビジネスパーソンにとって“壁”や“迷い”を払拭するヒントになります。若い時は往々にして先輩の言うことがうっとうしく感じます。勢いで頑張っている間は問題ありませんが、やがて壁にぶつかる時がやってきます。何かにすがりたくなって初めて、先人の話を聞きたい気持ちになってくるでしょう。そんな時に、目を通す最適な1冊です。