本書のストーリーは、夫が口腔底ガンを患ったことから始まります。手術によって噛む力を失った夫は、固形物が食べられなくなり、あごと舌だけで食事をすることを余儀なくされました。おいしいものを食べることが大好きだった夫が、食べる楽しみを失ってしまったのです。見た目にも食欲をそそって、食べてもおいしい介護ごはんを作りたい!そして夫の「おいしい笑顔」が見たい!妻は最愛の夫のために、噛みやすく飲み込みやすい介護食を生み出すべく奮起します。すき焼き、エビフライ、鶏カツ、フレンチトースト、そして流動食弁当――。本書に登場する介護食を見ると、驚くことは間違いありません。「味」「見た目」「栄養」にこだわった著者が創り出す工夫あふれる介護食が、次々に登場するからです。深刻な高齢化社会が進む中、在宅介護者も急速に増えています。毎日、介護食作りに苦心している方も多いのではないでしょうか。介護を受ける人と介護をする人。両方の立場の人が、一緒に幸せになれる。本書がそのために一役買えれば幸いです。泣けて、笑えて、生きる力が湧いてくる――。感動のノンフィクション介護食ストーリーを、ぜひお読みください。